TPRとは
TPRとは、聞くことを優先した教授法。学習者は、教師の指示通りに体を動かします。学習者は無理に話さなくていいので、「話さなきゃ」というプレッシャーから解放されます。全身反応教授法とも。子どもの歌によくありますね。
心理学者のアッシャーが提唱。
英語は、Total Physical Response
全身反応教授法(TPR:Total Physical Response)は、1960年代にアメリカの心理学者ジェームズ・J・アッシャー(James J. Asher)によって提唱された外国語教授法。この方法は、学習者が教師の指示を聞き、それに対して身体的な動作で反応することで、言語を自然に習得することを目的としています。
🧠 TPRの基本理念
TPRは、幼児が母語を習得する過程に着目。幼児は話す前に大量の言語を聞き、周囲の人々の動作を観察しながら意味を理解していきます。この自然な言語習得プロセスを外国語学習に応用し、学習者が教師の命令に身体的な動作で反応することで、言語を習得することを目指します。
📌 TPRの主な特徴
- リスニング重視:発話を強制せず、まずは聞くことに集中させます。
- 身体的反応:言語の指示に対して身体を動かすことで、意味を体感的に理解します。
- ストレスの軽減:発話のプレッシャーがないため、学習者の心理的負担が少なくなります。
- 楽しい学習:ゲーム感覚で取り組めるため、特に子どもたちにとって楽しい学習方法となります。
🎓 TPRの実践例
以下は、TPRを用いた指導の一例です:
- 教師が「立ってください」と指示し、実際に立ち上がります。
- 学習者はその動作を見て、同じように立ち上がります。
- このプロセスを繰り返すことで、学習者は言語と動作を結びつけて理解していきます。
このように、TPRでは教師の指示に対して学習者が身体的に反応することで、言語の意味を直感的に理解し、記憶に定着させます。
✅ TPRの利点と課題
利点:
- 学習者の緊張や不安を軽減し、リラックスした状態で学習できる。
- 身体を動かすことで、言語の意味を直感的に理解しやすくなる。
- 特に初級者や子どもにとって、楽しく効果的な学習方法となる。
課題:
- 抽象的な概念や複雑な文法事項の指導には適していない。
- 教師が主導する形式になりやすく、学習者の自主性を育てにくい場合がある。
- 長期的に使用すると、学習者が飽きてしまう可能性がある。
🧩 TPRの応用と発展
TPRは、特に初級者や子ども向けの外国語教育で効果的ですが、他の教授法と組み合わせることで、より高いレベルの学習者にも応用可能です。例えば、TPRを導入として使用し、その後にコミュニケーション活動や文法指導を行うことで、総合的な言語能力の向上を図ることができます。
全身反応教授法(TPR)は、言語と身体の動きを結びつけることで、学習者が自然に言語を習得することを促す教授法です。特に、リスニング力の向上や学習への動機付けに効果的であり、外国語教育の現場で広く活用されています。
TPR(全身反応教授法)の例
例)
教 師:立ってください
学習者:(実際に立ちます)
TPRによる英語の指導例
こちらのYouTube動画を見れば
TPR(全身反応教授法)のことが一発で分かりますので
1度見ておくことをおススメします。
TPRでやりたい過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問1
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5選択肢2【「窓を開けてください」などの指示を出し、実際にその動作を行わせる】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1選択肢4【TPR(Total Physical Response)】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題4の3番問1選択肢a【TPR(Total Physical Response)】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1選択肢4【TPR(Total Physical Response)】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2選択肢2【TPR(Total Physical Response)】
・平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問1選択肢2【TPR】
・平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5選択肢2【トータル・フィジカル・レスポンス(TPR)】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問1【教師が指示を出して学習者が動作で反応するという活動の背景にある考え方は?】→幼児が母語を習得するときのように、話す力よりも聴く力を先に発達させるべきである。