ハ行音の歴史が分かりやすいYouTube動画【ハ行ミステリー】
今回の解説を見る前に、まずは下の動画を見ることをおすすめします。
8分12秒の動画でハ行の謎と歴史が分かります。
問1の解き方
バ行がヒントです。
バ行は有声両唇破裂音。
対応するのが
パ行の無声両唇破裂音。
ハ行音はかつてパ行音でした。
よって、答えは1
問2の解き方
ハ行音の歴史の具体例は以下の通りです。
「かぱ」→「かふぁ」→「かわ」 →「かわ」
「かぴ」→「かふぃ」→「かうぃ」→「かい」
「ぱな」→「ふぁな」→「ふぁな」→「はな」
「ぴと」→「ふぃと」→「ふぃと」→「ひと」
ワ行音の発音に近くなったのは太字部分
語頭以外の位置に現れる場合です。
よって、答えは2
問3の解き方
ハ…声門摩擦音
バ…両唇破裂音
調音点も調音法も異なります。
ハ…声門摩擦音
ヒ…硬口蓋摩擦音
フ…両唇摩擦音
なので、調音点が異なります。
よって、答えは3
問4の解き方
「現代仮名遣い」については文化庁のウェブサイトを見てください。
選択肢1
この仮名遣いは,「ホオ・ホホ(ホホ)」「テキカク・テッカク(的確)」のような発音にゆれのある語について,その発音をどちらかに決めようとするものではない。
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/gendaikana/maegaki.html
選択肢2
この仮名遣いは,科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/gendaikana/maegaki.html
選択肢3
この仮名遣いは,擬声・擬態的描写や嘆声,特殊な方言音,外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/gendaikana/maegaki.html
選択肢4
この仮名遣いは,主として現代文のうち口語体のものに適用する。原文の仮名遣いによる必要のあるもの,固有名詞などでこれによりがたいものは除く。
この仮名遣いは,擬声・擬態的描写や嘆声,特殊な方言音,外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/gendaikana/maegaki.html
よって、答えは4
現代仮名遣いはときどき出題されますので、下の記事から過去問を確認してどんな問題が出るのか把握しておいてください。
問5の解き方
選択肢1
助詞のハを「は」を「わ」ではなく「は」と表記のはハ行転呼の影響です。
問2で見たように語頭以外のハ行がワ行音の音に近くなったからです。
ハ行転呼とは、語頭以外のハ行音がワ行音に変化した現象のこと。
ですが、助詞のヲはもともとハ行ではないので ハ行転呼は関係ありません。
「を」の歴史についてはWikipediaが詳しいです。
よって、答えは1
以下は日本語教師になる前に書いた解説です。
※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。
平成27年度日本語教育能力検定試験の問題4は【談話】です。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4は【どのように言うか】です。
問1昔のハ行の発音に関する問題です。
日本語教育能力検定試験に合格するための音声23にハ行の歴史について詳しい説明がありました。楽に発声しようと唇が緩んでいったのだとか。
現代日本語のハ行音はかつては両唇破裂音であったと推定されるので、正解は1です。
(日本語教育能力検定試験に合格するためのシリーズ)
問2 ハ行転呼に関する問題です。
アルク『日本語教育能力検定試験に合格するための音声23』によると、
奈良時代から平安時代後期にかけて、両唇摩擦音へと変化し、さらに、語頭以外の位置に現れる場合に、ワ行音の発音に近くなっていったと考えられますので、正解は2です。
問3
ハヘホは、無声声門摩擦音
バ行音は、有声両唇破裂音
なので、声帯振動の有無以外にも、調音点と調音法が異なります。
ハ…無声声門摩擦音
ヒ…無声硬口蓋摩擦音
フ…無声両唇摩擦音
なので、調音点が異なります。
よって、正解は3です。
問4「現代仮名遣い(昭和61年内閣告示)」に関する問題です。
文部科学省の「現代仮名遣い」に関する内閣告示及び内閣訓令についてによると、
「この仮名遣いは、「ホオ・ホホ(頬)」「テキカク・テッカク(的確)」のような発音にゆれのある語について、その発音をどちらかに決めようとするものではない。」とありますので、選択肢1は誤りです。
「この仮名遣いは、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。」とありますので、選択肢2は誤りです。
「この仮名遣いは、擬声・擬態的描写や嘆声、特殊な方言音、外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。」とありますので、選択肢3は誤りで、4が正解です。
問5 日本語の発音と表記に関する問題です。
1,助詞のヲを「お」ではなく「を」と表記する経緯は、wikipeidaが詳しいです。ハ行転呼の影響なのは、「ほ」→「を」ではないかと存じます。
よって、正解は1と思料します。