日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2は毎年、学習者の誤用から異なる種類の誤用を選ぶ問題です。いわゆる仲間外れ探しですね。
誤用とは、誤って用いること。
ようは間違えたということ。
解き方
1.例がどんな誤用か考える。
「きこう」が「きっこう」
促音が入っちゃってますね。
促音とは、小さい「っ」のこと。これも1拍として数えます。
2.選択肢から同じ誤用を探す。
小さい「っ」(促音)が入っているのは選択肢の2だけですね。これだけでは異なる種類の誤用が3つもあるので答えが絞れません。
3.他の共通点・相違点を探す。
例と他の選択肢に共通点がないか探します。それぞれどんな誤りなのか見ていきましょう。
- ひま→いま 子音の脱落(hima→ima「h」がなくなっている)
- にし→にっし 促音の添加
- とこう→とうこう 長音化(「と」→「とー」)
- きょう→きよう 拗音が直音2つに。
長音とは、長く伸ばす音。引く音(引き音)ともいう。カタカナの「-」
拗音とは、小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」を含んだ音。「ゃ」「ゅ」「ょ」は独立した拍に数えない。
直音とは、仮名1文字で表す音。拗音以外。
さて、選択肢から共通点を探しましょう。何だかシャーロックホームズになったみたいでワクワクしますね。ここでヒントとなるのが、問題2はフィクションではないということ。問題2に出てくる学習者の誤用は実際の学習がよくやる誤りなんです。外国人と日本語で接する機会が多い人には有利ですね。「来てください」が「切ってください」になったり、「チーズ食べたい」が「地図食べたいです」になったり。そう。問題の「きっこう」「とうこう」「きよう」これらは全て長くなってしまっている誤りです。学習者は促音の有無や長音の有無を区別するのが苦手なんです。もう一度、選択肢にもどって拍数を見てみましょう。
- ひま(2拍)→いま(2拍)
- にし(2拍)→にっし(3拍)
- とこう(3拍)→とうこう(4拍)
- きょう(2拍)→きよう(3拍)
1だけ拍数が変わっていません。よって答えは1です。
拍数のオススメ動画
拍数の数え方に不安がある方、あるいは自信があるので日本語教育能力検定試験に出てくるような問題にチャレンジしたいという方は動画を用意しましたのでデザートにどうぞ。
授業に役立つ豆知識
教案を作るときには、学習者がどんな誤用をしそうか書いておくといいです。事前に想定しておけば、誤用が出た場合、どう訂正しようか、あるいはそもそも誤用が出ないようにどう授業を進めればよいか、考えることができます。
教案とは、授業の目標・方法・時間配分などを書いた予定表のこと。
ですが経験がないうちはどんな誤用が多いのかわかりませんよね。
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ちょっとぶ厚い本ですが、学習者の誤用が2720文もあり、日本語を教える上で参考になること間違いなし。日本語教育能力検定試験合格のためには情報量が多すぎますが。実際に日本語を教える際にはかなり役立ちます。