平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8【異文化接触】の解説

ベリーの文化変容とは 統合 同化 周辺化 境界化 分離 離脱H30試験Ⅰ
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平成30年度(2018)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題8は【異文化接触】です。

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問1【文化化とは】

文化化とは、ある社会の中で成長していく中でその社会の文化的要素を身につけていくこと。エンカルチュレーション(enculturation)ともいう。

言葉が分からない問題の解き方

「文化化」は聞きなれない言葉ですが、慌てる必要はありません。こういう問題は問題文に多くのヒントがあります。問題文を読むと、

文化化を経た人が、他の集団やその成員と行う相互作用

とありますね。「他の集団と相互作用」するには、その前に自分の集団のことを身につけていないといけません。

さらに、次の文もヒントになります。

「自分の所属する社会における価値観や文化的特徴」

これを意識するにはそもそもこれを身につけていないといけません。

選択肢を見ましょう。

  1. 「どこの集団に属するかを自覚」つまり「自分は日本人だと自覚」することが、文化化ではありません。「自分の所属する社会における価値観」や「文化的特徴」を身につけることが文化化です。日本であれば、「日本人的な考え方や価値観を身につける」ことが文化化です。
  2. 文化とは、「古典芸能や高い見識」に限りません。
  3. 「新しい文化」や「異なる文化」以前に、「自分の所属する社会における価値観」や「文化的特徴」を身につけることが文化化です。
  4. そのとおり。

よって、4が正解です。

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問2【カルチャー・ショックの特徴】

解き方

  1. カルチャーショックとは、異文化に接してショックを受けること。落ち込むこともあるでしょう。
  2. カルチャーショックは、全身の倦怠感、微熱などの身体的症状が伴うこともあります。
  3. 最近、外国の人も増えてますから、日本でカルチャーショックを受けることもありえます。
  4. カルチャーショックは、「瞬間的」ではなく「持続的」なものなので問題文にあるように「Uカーブ」や「Wカーブ」などで説明されます。

よって、答えは2です。

小手先のテクニック

以前、「例外を認めない選択肢は誤りの可能性が高い」と言いましたが、逆に言うと「例外を認める選択肢は正しい可能性が高い」です。

「ことはない」例外を認めない言葉なので×が多い。

「こともある」例外を認める言葉なので〇が多い

だから選択肢2が正解。

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問3【Wカーブの意味】

これは知っている人には簡単ですね。

  1. そう。wカーブはUが2つ。最初のUは、異文化と接触し、気持ちが落ちた後、復活する流れ。それから帰国して、異文化と比べて自国の嫌なところが目につき、また落ち込む。それが2つ目のUの底。帰国後のショックの方が大きい場合もある。
  2. Wカーブの下は「不適応状態」を、上は「適応状態」を表します。異文化になじんだ後、帰国すると、今後は母国でショックを受けるということ。
  3. 「周囲との接触の度合い」を示したものではなく、適応の度合いを示したものです。
  4. 「異文化から帰国した後」はWカーブの後半だけです。「異文化との接触」がスタート地点です。

よって、答えは1です。

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問4【文化変容の分離とは】

文化変容(acculturation)の1つのタイプである分離(separation)の説明を選ぶ問題です。

ベリーの文化変容とは、異文化接触によって、文化的特徴が変化すること。アカルチュレーションとも。

文化変容の4つのタイプは日本語教育能力検定試験の大好物です。

  1. 変化が最も小さく、自文化に閉じこもっている状態は、分離です。
  2. 文化的・心理的に異文化の受容が最も大きい状態は、同化です。
  3. 自文化と異文化の間で葛藤している状態は、まだ4つのタイプのどれかに落ち着く前の状態です。どれにしようかな? と葛藤しています。
  4. 自文化を保ち、異文化も受け入れている状態は、統合です。

よって、答えは1です。

なお、周辺化とは、元の文化を保持することにも、異文化と関わることにも、興味がほとんどない状態です。

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問5【ソーシャルサポートの注意点】

ソーシャルサポートとは、困っている人を周りの人がサポートすること。社会的支援とも。

ソーシャルサポートも日本語教育能力検定試験によく出てきますのでしっかり理解しましょう。選択肢1から3はそのとおりなのでそのまま覚えてください。「同じような困難を抱えた者」だからこそ分かり合えたり当事者ならではのアドバイスができると思います。

よって、正解は4です。

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過去問は最高のテキスト

問題8の異文化接触は頻出の分野です。問題8の本文は、異文化接触を理解するのに非常によいテキストですから、しっかり読み込んで異文化接触についての理解を深めましょう。

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問5【ソーシャルサポート】

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9【ベリーの文化受容態度「同化」と「統合」】

平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問4【ソーシャルサポート】

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10【ベリーの文化受容態度4モデル】

平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10【異文化接触】

コメント

  1. June T より:

    はま先生こんにちは^^ いつもYouTubeで楽しく勉強しています!
    とうとう平成30年度の動画に追いついてしまいました…
    これから令和元年度の過去問に着手いたします(`・ω・´)ゞ

    下記内容の確認をお願いいたします!

    問4【文化変容の分離とは】の選択肢1から4の中に出てくる”自文化”が”自分化”になっています。

    ps.いつも重箱の隅をつつくようなコメントで申し訳なく思っておりますが、先生はすぐに訂正して下さるので、まるで一緒に編集作業をしているようですw
    今回はブログの記載内容の訂正でしたので、こちらからコメントさせていただきましたがYouTubeのコメントの方がよろしかったでしょうか?

    • はまはま より:

      ありがとうございます! 大変助かるので、申し訳なく思わないでください!
      コメントはYouTubeでもブログでもどちらでも構いません。

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