平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10【音声理解】の解説

H30試験Ⅰ
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平成30年度(2018)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題10は【音声理解】です。

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問1【相手の言葉に選択的に注意を向けることを何というか】

解き方

下線部や選択肢の言葉がわからないときは前後の文に注意を向けましょう。

下線部の前に「様々な音声が聞こえる場で」とあるので、そんな場が選択肢にないか探すと「カクテル・パーティ」があります。

よって、答えは3です。

言葉の意味

自己関連付け効果とは、自己に関連付けて考えると記憶に残りやすいということ。例えば、日本語教師の人が「これから日本語教育業界はどうなるのか」と「これから弁護士業界」はどうなるのかという2つの話を聞いた場合、「これから日本語教育業界はどうなるのか」という話の方がよく覚えているということ。これは勉強で使えるテクニックです。過去問や赤本を読んでいるときも自分の経験に照らし合わせて考えると覚えやすいです。例えば、カクテル・パーティ効果を勉強するときに、自分が過去に参加したパーティのことを思い出す。うるさくても人と話すことができたことを思い出す。自分の経験と関連付けるという手順を踏むと深く理解できます。

全体優位性効果は、日本語でグーグル先生に聞いても英語でグーグル先生に聞いても該当の単語が出てきませんでした。

Word superiority effect

Picture superiority effect

ならありました。

カクテル・パーティ効果とは、カクテルパーティのようにたくさんの人が話している場所でも、自分の興味のある話を聞き分けることができること。話相手の声とか、遠くでも自分の噂話をしている人の声とかはよく聞こえますよね。

ハロー効果とはブッダの後ろについているやつです。「こんにちは」の「hello」ではなく、「halo(ヘイロウ)」です。人や物事を評価するときに分かりやすい特徴に影響されて別のことも同じように評価してしまうことです。プラスにもマイナスにも働きます。後光効果とも。例えば、イケメンの政治家とブサメンの政治家では「イケメンの政治家」の方が選挙で勝てます。「かっこいいから」ではありません。「誠実そうだから。仕事ができそうだから」です。でも、イケメンのほうが誠実そうに見えるのは、イケメンというポジティブ評価に引っ張られているんですね。嫌いな人の言うことは全部悪く聞こえるとかもハロー効果です。

日本語を教える時に役立つ豆知識

ハロー効果は、日本語の授業でも応用できます。

学生と話すとき、学生の名前をたくさん呼びましょう。自分の名前というのはもちろん興味のあることなので学生がよく話を聞いてくれます。さらに、人はたくさん名前を呼ばれると相手に親しみをいだくので学生との関係も良好になります。

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問2【既有の知識が収められている場所】

「メタ知識」「直接記憶」はあまり聞かない言葉ですが、「適当なものを選ぶ」問題は知っている言葉から選ぶといいです。「短期記憶」と「長期記憶」はよく勉強している言葉ですね。

短期記憶とは、短期の記憶。一時的に覚えている。STMとも。

長期記憶とは、長期の記憶。LTMとも。既有の知識として頭の中に収められている。

よって、長期記憶の4が正解です。

なお

メタ記憶とは、あることを自分が記憶しているかどうか認知すること。例えば「hello=こんにちは」これが記憶。うん、そうだよな。私はこのことを知っている! これがメタ記憶。メタ記憶はメタ認知の一種。

メタ認知とは、自分の認知を認知すること。例えば、自分は文法の勉強が苦手だとか計画的に勉強するのが得意だとか。自分の思考を自分で理解すること。

直接記憶とは、immediate memory, 感覚器官が外界からの刺激を一瞬だけ保持する記憶。これに注意を向けると短期記憶として保持される。感覚記憶、即時記憶とも。

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問3【外国語副作用の意味】

外国語副作用とは、外国語を使う時、頭が悪くなること。ワーキングメモリーの容量には限界があるので、外国語の処理に使ってしまうと、他のことへ使えるメモリ容量が減ってしまうのです。重い動画編集ソフトを使うとパソコンの反応が遅くなるのと同じですね。

  1. 「外国語副作用」という言葉の意味を知らなくてもわかりますね。「薬の副作用」が「薬を使ったことが原因で別の悪いことが起きる」ですから。「外国語副作用」は「外国語を使ったことが原因で別の悪いことが起きる」だと推測できます。選択肢1は、「異文化環境下で生じた問題が原因」と言っているので、原因が違います。
  2. 「言語間で互いに干渉を受けること」は言語転移といいます。
  3. そのとおり!
  4. 「言語的パフォーマンスの質が落ちる」のは、「副作用」つまり「別の悪いこと」ではなく、外国語を使うことそのものですね。

よって、答えは3です。

日本語を教える時に役立つ豆知識

外国人が頑張って日本語を話していると、子供っぽく見えたり、かわいく見えたりしませんか? 実際にそう見えることが多いので、外国人学習者を子ども扱いしてしまう日本語教師は多いです。ですが、彼らも大人であり、母国語であれば論理的に考えることができるのです。私も英語やタイ語を話すときはすごくバカになります。

気をつけたい。

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問4【モニターの例】

モニターとは、ニンゲン観察バラエティ『モニタリング』! TV番組では他の人をこっそり観察するわけですが、言語教育で観察するのは自分自身です。モニタリングとも。

  1. 「自分の理解内容が正しいかどうか確認する」ことをモニターと言います。
  2. 「意味の分からない語や表現を文脈から推測する」ことを補償ストラテジーと言います。
  3. 「聞きながら大事な箇所をノートに書き留める」ことを認知ストラテジーと言います。
  4. 「音声の記憶を保持するために意識的に復唱する」ことを記憶ストラテジーと言います。

よって、答えは1です。

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問5【シャドーイングの説明】

  1. 「聞こえてきた音声を、間を空けないで聞こえたまま声に出していく」ことをシャドーイングと言います。
  2. 「やや長いフレーズや文の全体を聞いて、それを正確に文字化する」ことをディクテーションと言います。
  3. 「聞こえてくる発話を、聞いたそばから同時に母語に変えて声に出していく」ことを同時通訳と言います?
  4. 「文ごとにポーズが置かれた音声を聞いて、ポーズの間にその音声を繰り返す」ことをリピーティング(リピート)と言います。

よって、答えは1です。

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問6【関連する過去問】

・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題9【シャドーイングと音読の効果を比較するための統計処理】

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