平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11【海外に住む日本人の子供】の解説

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平成30年度(2018)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題11は【海外に住む日本人の子ども】です。

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問1【日本人学校設置の目的】

私はタイにいた時に日本人学校と若干の関わりがあったので、この問題を見た瞬間、YES3番!で終わったのですが、関わりのない人には難しいかもしれません。赤本や過去問になく、どれもそれっぽい解答なので。ヒントは文部科学省認定です。

文部科学省は、国内の学校にいろいろ指導しているイメージ。だから「国内の小・中学校または高等学校における教育」が出てくる3が正解。

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問2【補習授業校は何をするか】

これは問題文からなんとか解けるでしょうか。まず、選択肢3は「補習」という要素がないのでカット。選択肢2は「日本人学校の…補習」とありますが、問題文を見ると「日本語学校…また、補習授業校」とあるので、「日本語学校」と「補習授業校」は and ではなく、or の関係だとわかるので、これも間違い。あとは選択肢1か4か。1は「現地校のカリキュラム」を補習。4は「日本の小・中学校の一部の教科の授業」を補習。

ここでポイントとなるのがこれが「日本語教育能力検定試験」ということ。

「現地校のカリキュラム」を「補習」するのであれば、「日本語教育」とはあまり関係ありませんね?

そう。「補習授業校」とは、外国に住み現地の学校に行く日本人の子どもが日本語を忘れないようにあるいは日本に帰ったときに日本語で学べるように「日本の小・中学校の一部の教科の授業を」日本語で補習をするのです。

よって、正解は4です。

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問3【ダブル・リミテッドの状態とは】

私は十代のころ、「帰国子女は簡単に英語がペラペラになってうらやましすぎる! 自分はこんなに英語で苦労しているのにずるい!」と思っていましたが、若い時に外国に住めば自動的に日本語も英語もペラペラだぜ! という簡単なことではないんですね。年齢や環境、本人の努力次第ではどちらも中途半端になってしまうこともあります。そう。ダブルリミテッドです。

ダブル・リミテッド・バイリンガルとは、どちらの言語も年齢相応のレベルに達していない状態のこと。

よって、答えは3です。

詳しくは下の記事をどうぞ。

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問4【継承語の教育の実態】

継承語とは、移民にとっての自分の民族、あるいは上の世代が話してきた言語。Heritage Languageの略。

イマージョン教育とは、英語母語話者がマジョリティ(多数派)であるカナダで、少数言語のフランス語を使って教育するなど、多数言語話者を少数言語の環境に入れること。

それでは各選択肢を見ていきましょう。

  1. カナダには、英語を使用している地域ですが、フランス語で授業を行っている学校がありますので、そのとおりです。
  2. 「親の期待に応え、自発的に」勉強する子どもは少ないですね。私の学校でもサマーコースには外国に住んでいる日本人ミックス(ハーフ)の子どもが来ます。「日本人のお母さんに日本語を勉強しろと言われたから来た」というパターンです。やる気のない子もいます。
  3. 生徒や教師が少ないとたくさんのクラスを作れず、「継承語の熟達度が異なる子どもが同じクラスで」学ぶことになります。
  4. 日系1世、2世、3世と下に行けば行くほど、ゼロから日本語(継承語)を教育する必要があります。

よって、答えは2です。

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問5【継承語保持の真実】

  1. 「同族メンバー間の相互交流があると継承語」を使う機会が増えますので「継承語が保持される傾向に」ありますね。マル。
  2. 「現地生まれの子ども」は生まれてからずっと現地語にさらされるわけですから、「現地生まれの子どもの数が増えると」継承語は保持されにくくなるでしょう。バツ
  3. 日系1世、2世、3世と下に行けば行くほど、「平仮名の読み書きの保持率」は低くなるでしょう。バツ
  4. 移住一世、二世、三世と下に行けば行くほど、「継承語の運用能力」は保持されなくなるでしょう。バツ

よって、答えは1です。

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