平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7【コースデザイン】の解説

ニーズ調査 レディネス調査 コースデザインH30試験Ⅰ
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平成30年度(2018)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題7は【コースデザイン】です。

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問1【ニーズ調査・分析とは】

ニーズ調査・分析needs analysis)とは、学習目的を調査し分析すること。

選択肢を見ていきましょう。「ない」と言い切っている奴は間違いの可能性が高いと言いましたが、その中でも特に間違いの可能性が高いのが「必要ない」野郎です。多様性が尊重されている現代において、例外を認めず「必要ない」と言い切るのは大変危険。そんな危険思想の人物を落とすために「必要ない」という選択肢は誤りになります。よって、選択肢3と4は誤り。

  1. インターネットが当たり前の世の中において「用紙」を使わなければ理由が全くわかりませんね。アンケートするならグーグルフォームの方が便利でしょう。
  2. 例えば、会社の職務で日本語が必要だから学びに来たという外国人労働者の場合、どんな日本語が必要なのか、どんな専門用語があるのか、それを知るためには、同僚や上司の日本人にも調査を行う必要があります。
  3. 例えばビジネス日本語を必要としている人は最初からビジネス日本語をやったほうがいいでしょうか。「ご家族は何人ですか」とか初級の最初の頃に出てくるテキストは多いですが、ビジネス日本語とは関係ない。だから調査の必要あり。
  4. ニーズは変化する可能性があるので、開始後も調査は必要です。

よって、答えは2です。

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問2【レディネス調査・分析とは】

レディネス調査・分析readiness analysis)とは、「アーユーレディ?(Are you ready?)準備できてる?」の調査。学習者がどんな人か、そのプロフィールを調査し、分析すること。今までどんなことをしてきて今どんな状態にあるのか。

ニーズ調査レディネス調査コース・デザインのために行います。

  1. お金によってグループレッスンとかプライベートレッスンとか変わってきますから調査しましょう。
  2. 外国語を学んだ経験があるとやりやすいですから調査しましょう。
  3. どんなテキストを使ってきたかでこれから使うテキストも変わってくるから調査しましょう。
  4. どのような場面で日本語を使うかはニーズ調査ですね。

よって、答えは4です。

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問3【シラバスの種類】解き方

解き方

  1. 機能シラバスでは、例えば「窓を開けてもいいですか」という文であれば、その文の意味と許可を求めるという使用目的を結び付けて学習できます。マル
  2. 四技能のうち一つに特化して学びたい人に向いているのは技能シラバスです。バツ。
  3. 構造シラバスでは文型の難易度順に勉強します。バツ
  4. 観光で短期間日本に滞在する人に向いているのは、自分が必要な場面をピンポイントで勉強できる場面シラバスやタスクシラバスです。構造シラバスは文法を一から勉強するのでピラミッドを積み上げていくように長期間勉強したい人に向いています。

よって、答えは1です。

シラバスの種類

後述の【関連する過去問】にあるとおり、シラバスは日本語教育能力検定試験に頻出する問題なので覚えましょう。

構造シラバス文の構造に着目し、文法を勉強しやすい順番に並べたもの。文型シラバス文法シラバスともいう。「みんなの日本語」が有名。構造シラバスは基本のシラバスなので、俺か、俺以外か(構造シラバスか、構造シラバス以外か)という二分もあり。
構造シラバスのテキスト:げんきJapanese for Busy People
機能シラバス「許可を求める」「依頼する」「謝罪する」など言葉の機能に着目し、機能ごとに分けたシラバス。
機能シラバスのテキスト:にほんご会話上手!中上級学習者のためのブラッシュアップ日本語会話
タスクシラバス(課題シラバス)「パーティで自己紹介をする」など、場面課題が提示され、課題の達成を目的としたシラバス。場面と課題があるため、実際にどんな場所でどんなフレーズを使うかイメージしやすい。最近人気のシラバス。
タスクシラバスのテキスト:つなぐ日本語まるごとできる日本語
トピックシラバス
(話題シラバス)
「コロナ」「アニメ」「ゲーム」などトピックごとにまとめられたシラバス。そのトピックを扱うために必要な表現や文法を学ぶ。
トピックシラバスのテキスト:J.BRIDGE for Beginnersテーマで学ぶ基礎日本語
場面シラバス「学校で」「市役所で」など場面ごとにまとめられたシラバス。その場面でどのような表現が必要か知ることができるので、自分にとって必要な場面のみピックアップできるなどの利点。
場面シラバスのテキスト:はじめよう日本語(話題・場面シラバス)
技能シラバス
(スキルシラバス)
日本語を「話す」「聞く」「読む」「書く」という4技能にわけて、そのいずれか、あるいは複数を扱うシラバス。4技能のうち、何かに特化して勉強したいときに役立つ。
技能シラバスのテキスト:中級からの日本語プロフィシェンシー ライティング留学生のためのここが大切 文章表現のルール
シラバスの分類
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問4【カリキュラムデザイン】

解き方

問題文を読むと、コースデザインでは、①ニーズ調査とレディネス調査②シラバスデザイン③カリキュラムデザイン、の順番で行うことがわかります。

コースデザインとは、コースを設計すること。デザイン=設計。

シラバスデザインとは、何を教えるか決めること。構造シラバスや機能シラバスがありましたね。

カリキュラムデザインとは、カリキュラムを決めること。○○を教えるのはいつか? 具体的にどういう教室活動をするか? 何時間使うか? 各レッスンの目標は? 時間配分や教科書をどこまで進めるか(コースの進度)。

  1. 教室活動の内容といった具体的な内容はカリキュラムデザインで決定します。
  2. コースの進度など具体的な進め方はカリキュラムデザインで決定します。
  3. 学習項目のリストという何を教えるか、という部分はシラバスデザインの段階で決めます。
  4. 各課の目標といった小さなゴールはカリキュラムデザインで決定します。

よって、答えは3です。

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問5【適切な教材を選定する方法】

  1. 問3で見たように教材はシラバスごとに分かれているので、シラバスデザインの後で決めます。
  2. 逆ですね。コース目標を定め、シラバスデザインを行った後で、使いたい教科書を探します。
  3. 教材を選定する際には、想定される教授法や授業の流れに主教材(メインテキスト)が合うか、確認すべきなのはもちろですね。
  4. 初級レベルでも生教材は使えます。例えば、お菓子のパッケージからカタカナを読むとか。

よって、答えは3です。

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関連する過去問

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平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問4【トピックシラバスの特徴】

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問3【構造シラバスの利点】

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平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問5【先行シラバスと後行シラバスの特徴】

平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問1【学習者のニーズを選ぶ問題】

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7【コースデザイン】

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7問1【タスクシラバスと構造シラバス】

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