問1の解き方
専門知識なしで解けますので落としたくない問題です。
2つの文のうち「庭で荷物を運んだ」の方がわかりやすいので
この文と(イ)の選択肢を見比べます。
「庭で」は明らかに「動作場所」です。選択肢2です。
選択肢2の(ア)を見ます。
<着点>
「庭に荷物を運んだ」の「庭に」は着点?
それっぽいですね。
よって、答えは2
問2の解き方
落としたくない問題です。
選択肢1
確かに1つ目の文は主語が「象」なのか「鼻」なのかよくわかりません。
2つ目の文は述語がないので、「春」だけで主語と認定していいのか容易ではありません。
〇
なお「象は鼻が長い」に関しては絶対に見てほしい動画がありますのでご紹介します。
下記のツイートでご紹介した動画(ゆる言語ラジオの象は鼻が長い動画)です。
とても有名になったYouTubeチャンネルなので、すでに見たという方が多いとは思いますが。見たことない人は1度騙されたと思ってみてください。
選択肢2
「悲しい」のように人の内面を表す表現を第三者に使う時は、
「彼は悲しそうです」など外から見てわかる表現にしなければなりません。
他人の気持ちは外に表現されて初めて、知ることができるので。
「彼は」の「は」は関係ありません。
×
選択肢3
「鉛筆は居る」が不自然なのは、日本語では、アニマシー(有生性)の高いものの存在が「いる」、アニマシーの低いものの存在が「ある」で表されるからです。
×
例)猫がいます。鉛筆があります。水槽の中にはエビがいます。あのスーパーにエビがあります。牧場に牛がいます。あのスーパーに牛肉があります。
生きたエビは「います」、死んだエビは「あります」
生きた牛は「います」、死んだ牛は「あります」
おもしろいですねえ。これがアニマシー(有生性)です。
この問題の答えは、平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1【有生性】問題文の下線部Aに書いてありましたね。
平成24年度の過去問は去年売り切れ絶版になり、今は手に入りにくいです(メルカリやヤフオクで定価の倍以上でときどき売っています。試験が近くなるほど値段が上がり、試験が終わると安くなります)。
私は以前、日本国際教育支援協会に再版お願いの電話をしたのですがダメでした。
もし平成24年度の過去問をお持ちのラッキーな方は読んでみてください。
アニマシーについてよくまとまっているので平成24年度の問題文を読むだけでも勉強になりますよ。
平成24年度の過去問を持っていないという方は、下記の記事でアニマシーについて説明していますのでよかったらどうぞ。
選択肢4
「は」と「が」の違いを学習者に聞かれた場合、皆さんは何と答えますか?
ちょっと考えてみてください。
…
…
…
私が一番シンプルに答える時は
「は」は主題(トピック)
「が」は主語(サブジェクト)
と答えます。
例)大阪はお好み焼きがおいしい。
上の文だと「大阪」が主題(トピック)
「お好み焼き」が主語
「おいしい」が述語
となります。
選択肢4は逆です。
×
よって、答えは1
問3の解き方
「意味的な役割」と「文法的な関係」と言われてもよく分かりません。
「意味的」も「文法的」も漠然としていて、色々な使い方があるからです。
ときどき、言葉の意味を自分なりに勝手に解釈する人がいますが、それはダメです。
自分の解釈ではなく、問題文の解釈に従ってください。
言葉の定義・意味が分からない時は問題文をよく読んでください。
「荷物が運ばれた」と「荷物を運んだ」の「荷物」は、両文とも動作の<対象>という意味的な役割を持つ点で共通しています。しかし、前者は文法的に主語といえるが、後者はそうでない。
これが本問の「意味的」と「文法的」の使い方です。
同じような観点から各選択肢を検討します。
選択肢1
「部屋」と「岸」は、どちらも動作の<起点> という意味的な役割を持つ点で共通しています(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p52ヲ格を参照)。
意味的な役割は同じです。
文法的な関係は…どちらも主語ではありません。どちらも目的語です。同じです。
×
選択肢2
同じです。
×
選択肢3
「ラジオ」と「木」は、どちらも動作の<対象>という意味的な役割を持つ点で共通しています。
文法的な関係は…どちらも主語ではありません。どちらも目的語です。同じです。
×
選択肢4
〇
よって、答えは4
問4の解き方【自動詞には二種類のタイプがある】
落としたない問題です。
こちらも問3同様に問題文をよく読めば解けます。
問題文の第2段落。
文法的な関係は「主語(主体)」か、主語ではない「目的語(対象)」か。
「太郎が走る」の「太郎」は「走る」という行為の「主語(主体)」です。
「窓が開く」の「窓」は「開く」という行為の「目的語(対象)」です。
このように格助詞のガ格には「主体」だけじゃなく「対象」を表すこともできます(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p52ガ格)
ガ格の名詞が行為をしていたら、ガ格は「主体」です。
が格の名詞が行為をしておらず、他が行為をしていたら、ガ格は「対象」です。
同じように各選択肢の動詞とガ格で文を作ってみます。
選択肢1
「カエルが跳ぶ」の「カエル」は「跳ぶ」という行為をしているので「主語(主体)」です。
「赤ちゃんが歩く」の「赤ちゃん」は「歩く」という行為をしているので「主語(主体)」です。
×
選択肢2
「鉄が溶ける」の「鉄」は「溶ける」という行為をしていない(他の誰かが鉄を溶かした)ので「目的語(対象)」です。
「若者が騒ぐ」の「若者」は「騒ぐ」という行為をしているので「主語(主体)」です。
×
選択肢3
「猫が泳ぐ」の「猫」は「泳ぐ」という行為をしているので「主語(主体)」です。
「ガラスが割れる」の「ガラス」は「割れる」という行為をしていない(他の誰かがガラスを割った)ので「目的語(対象)」です。
〇
選択肢4
「パンケーキが焼ける」の「パンケーキ」は「焼ける」という行為をしていない(他の誰かがパンケーキを焼いた)ので「目的語(対象)」です。
「日が暮れる」の文はおもしろいですね。
人によって解釈が分かれるかもしれません。
出題者もニヤニヤしているのではないでしょうか。
真実は地動説であり、太陽は動いていません。だから行為の主体ではありません。
ですが、地球に住む我々から見ると、太陽は自分で動いているように見えます。まるで太陽が自分から隠れてしまい世の中を暗くしているように見えます。
なので「日が暮れる」の「日」は「暮れる」という行為をしていると考えます。「主語(主体)」です。
×
よって、答えは3
問5の解き方
各選択肢の形や文を作ってみると答えがでます。
その際は違う動詞を使っていないか気を付けてください。
同じ動詞か違う動詞か分からなくなったら動詞のグループと活用形を確認してください。
動詞のグループを確かめる方法を知らない方は下記の記事をどうぞ。
上の記事のように「ナイ形」にしてみます。
「走る」はナイ形が「走らない(hashiranai)」anaiなので1グループ(五段動詞)
「開く」はナイ形が「あかない(akanai)」anaiなので1グループ(五段動詞)
どちらも1グループ(五段動詞)なので、五段に活用してみましょう。
「走る」の五段活用:走ら・走り・走る・走れ・走ろ
「開く」の五段活用:開か・開き・開く・開け・開こ
これかの活用形を使って各選択肢を検討します。
ただし、テ形は音便化して形が変わっているので注意が必要です。
「走る」のテ形は「走りて」の促音便「走って」
「開く」のテ形は「開きて」のイ音便「開いて」
音便についてもっと知りたい方は下記の記事をどうぞ
選択肢1
「走っている」
「開いている」
どちらも作りやすいです。
×
選択肢2
「走ってもらう」
「開いてもらう」×
「開いてもらう」は変です。「開く」タイプでは作りにくいです。
〇
なお「開けてもらう」は動詞が違います。これは自動詞「開く」のペアとなる他動詞の「開ける」です。「開ける」のグループと活用形は何ですか? 考えてみてください。答えは最後です。
選択肢3
「走れ」
「開(あ)け」×
「走る」タイプでは命令文を作りやすく、「開く」タイプでは作りにくいです。
×
なお、「開けろ」は他動詞「開ける」の命令形です。
また「開(ひら)け」も別の動詞なので注意。こちらは「開(ひら)く」の命令形「開(ひら)け」です。
選択肢4
「走らされる」
「開かされる」×
「走る」タイプでは使役受身文を作りやすいですが、「開く」タイプでは作りにくいです。
×
よって、答えは2
「開く」と「開ける」の違い
自動詞「開く」と他動詞「開ける」は動詞のグループが違います。
「開く」は上記通り1グループ(五段動詞)
「開ける」のナイ形は「開けない(akenai)」enaiなので2グループ(一段活用)です。
活用は一段なので、いつでも「開け」です。
開けない・開けます・開ける・開けよう・開けろ