TBLT(Task-based language learning)とは【タスク中心の教授法】

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タスク中心の教授法とは?

タスク中心の教授法とは、タスク(課題)を達成することを主眼とした教授法。

タスクに基づく言語指導法、もしくはタスク中心教授法とも。

学習者の立場からは、タスクに基づく言語学習

英語は、Task-based language learning

タスク中心の教授法は、コミュニカティブ・アプローチの考え方が基盤となっている(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4より)。

タスク中心の教授法では、コミュニカティブ・アプローチと同じく、意味交渉をすることで言語習得が促進されると考えます。

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タスク中心の教授法の教室活動・学習活動例

・グループで無人島生活の必需品リストを作成し優先順位をつけさせる(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5より)。

・日本語のレシピを見ながら、カレーライスを協力して作る。

・就職活動で必要になるエントリーシートや履歴書を作成する。

・住んでいる町を紹介するパンフレットを分担して作る。

(以上は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4より)

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AIによるTBLTの解説

【TBLT(Task-Based Language Teaching)とは?】

**TBLT(Task-Based Language Teaching)**とは、文法や語彙などの言語知識の習得を目的とするのではなく、意味のある「タスク(課題)」を通じて言語を学ぶ教授法です。学習者が実際のコミュニケーションに近い状況で言語を使うことで、自然な言語習得を促します。


【TBLTの理論的背景】

  • 言語習得の理論的基盤
    • **第二言語習得理論(SLA)**における「意味中心のインプットとアウトプット」が重要視されます。
    • Stephen Krashenの「インプット仮説」やMerrill Swainの「アウトプット仮説」、**Long(Michael Long)**の「インタラクション仮説」がTBLTの理論的支柱となっています。
    • **Long(1985)**は特に、言語学習は「意味交渉(negotiation of meaning)」によって促進されると主張し、TBLTを提唱しました。

【TBLTの特徴】

  1. タスク中心
    • 教師主導の講義ではなく、学習者が「タスク」を遂行する活動が中心。
  2. 意味交渉
    • タスクの中で学習者同士が意図を伝え合い、誤解を修正するプロセスが重要。
  3. 文法は後付け
    • 文法の指導は必要に応じて「フォーカス・オン・フォーム(Focus on Form)」として行われる。
  4. 実際的な言語使用
    • 旅行の計画、道案内、買い物、問題解決など、現実の生活に即した活動を行う。

【タスクの種類】

TBLTにおけるタスクは、目的や複雑さによって分類されます。代表的なもの:

  1. Jigsaw task(ジグソータスク)
    • 各自が持つ情報を共有して、全体の情報を完成させる。例:地図の断片を持ち寄って道順を完成させる。
  2. Information-gap task(情報ギャップタスク)
    • お互いに異なる情報を持っており、質問・応答を通じて必要な情報を得る。
  3. Problem-solving task(問題解決タスク)
    • グループで話し合い、ある問題に対して解決策を導く。
  4. Opinion-exchange task(意見交換タスク)
    • 自分の意見を述べたり、他人の意見に同意・反論したりする。
  5. Decision-making task(意思決定タスク)
    • 一つの決定を下すために、グループで議論する。

【TBLTの基本的な導入ステップ】

  1. Pre-task(事前活動)
    • 語彙や背景知識を導入し、タスク遂行の準備をする。
  2. During-task(タスク実施)
    • 学習者がペアまたはグループでタスクに取り組む。教師はファシリテーター。
  3. Post-task(事後活動)
    • 発表、振り返り、必要に応じた文法指導(フォーカス・オン・フォーム)を行う。

【TBLTのメリット】

  • ✅ 学習者のコミュニケーション能力が向上する
  • ✅ 意味のある活動でモチベーションが高まる
  • ✅ 実社会に役立つ言語スキルが身に付く
  • ✅ 学習者中心のアクティブな学びになる

【TBLTの課題・デメリット】

  • ⚠️ 文法力が十分に育たない可能性
  • ⚠️ 教師に高度な授業設計力が求められる
  • ⚠️ 大人数クラスや試験重視の環境では導入が困難
  • ⚠️ 学習者のレベル差への対応が難しい

【TBLTの実践例(初級~中級レベル)】

レベルタスク例使用言語
初級旅行の計画を立てよう地名、曜日、値段、好み
中級新しいカフェの広告を作ろう形容詞、比較表現、勧誘表現
中級「理想の町」を設計しよう場所の表現、意見の述べ方
中~上級社会問題についての討論意見交換、反論、提案表現

【TBLTと他の教授法との比較】

教授法中心となるもの特徴
文法訳読法文法と訳読習得というより知識重視
オーディオリンガル法模倣と反復文型練習中心
コミュニカティブ・アプローチ意味ある会話流暢さ重視
TBLTタスク達成目的ある活動、実用的言語使用

【まとめ】

TBLTは、「使うことによって学ぶ」ことを目指す実践的なアプローチです。教育現場では試験対策とのバランス、学習者の不安へのケア、適切なタスク設計が重要となりますが、モチベーションの向上実践的言語力の育成という面で非常に有効な教授法です。

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タスク中心の教授法(TBLT)でやりたい過去問

令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問1

令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問5【タスク中心の教授法の特徴】

令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問5【タスク中心の教授法で扱うタスクの特徴】選択肢3【学習者のニーズを反映させている】

令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5【タスク中心の教授法の活動例】選択肢1【グループで無人島生活の必需品のリストを作成し、優先順位をつけさせる】

平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3【タスク中心の教授法に基づく学習活動】

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