平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題4は【前提と焦点】です。
問1 前提に依存することでのみ成立している答え方として適当なものを選ぶ問題です。
1,「たぶんこの道をまっすぐでよかったと思いますけど」という答えは、この文章だけで、道順を答えているのだなと分かるので、前提に依存してはいません。
2,「ううん、4時から」という答えは、この文章だけで、何かの始まる時間を答えているのだなと分かるので、前提に依存してはいません。
3,「そうです」という答えは、この文章だけで、何かに同意したと分かるので、前提に依存してはいません。
4,「大阪です」という答えは、この文章だけでは地名を答えているにすぎません。実際は「出身地は大阪です」という意味ですが、それは「関西のご出身ですか」という前提に依存することでのみ成立しています。前提に依存することで主語を省略したのです。
よって、正解は4です。
問2
3の文は「日本語教師になった理由」に焦点が当てられていません。
よって、正解は3です。
問3
選択肢のうちで、「新情報と旧情報の問題」といえば、「は」と「が」の使い分けです。
新情報には 「が」を使い、旧情報には「は」を使います。
例…○ 昨日、iPhone7が発売されました。iPhone7はホームボタンがありません。
(一文目はiPhone7が新情報。二文目はiPhone7が旧情報、ホームボタンが新情報)
×昨日、iPhone7は発売されました。iPhone7がホームボタンはありません。
詳しくは、日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版122頁以下に「は」と「が」の説明があります。
よって、正解は2です。
問4
日本では、遠足の持ち物に「水筒」の指示があれば、中身は入れてくるという前提があります。同じように、日本で「授業態度がよくない」といえば、寝ていたり、友達とおしゃべりをしたり、先生の話を聞いていなかったりを意味します。ところが選択肢3の外国では、「授業態度がよくない」とは、自発的発言がなく積極性がないことを意味します。前提(発話の中で話し手・聞き手双方が共通に了解していること)が異なっているのです。
よって、正解は3です。