(6)【動詞の自他】の解き方
この問題は難しいので、できなくても大丈夫です。
【動詞の自他】
自他とは、自動詞と他動詞のこと。
自動詞と他動詞は「が」と「を」つければわかりやすいです。
例)ドアが開く、ドアを開ける
「が」を使う「開く」は自動詞
「を」を使う「開ける」は他動詞
1 走る
人が走る、人を走す×、人を走らせる
2 渡る
人が渡る、人を渡す、人を渡らせる
3 通る
人が通る、人を通す、人を通らせる
4 回る
人が回る、人を回す、人を回らせる
5 移る
人が移る、人を移す、人を移らせる
2から5は「〇る」が自動詞、「〇す」が他動詞です。
1は「走す」という言葉がないので仲間外れ。
よって、答えは1
「走る」のように他動詞がない自動詞のことを無対自動詞といいます。
詳しくは日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p64を見てください。
「~らせる」は使役形です。
日本語教師になる前に書いた解説
※解き方、考え方にはいろいろあることを知ってもらうため、あえて残してあります。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題1(6)【動詞の自他】を検討します。
まず、自動詞・他動詞を判別するため、各選択肢の動詞の前に格助詞「を」をつけてみます。
1,を走る
2,を渡る
3,を通る
4,を回る
5,を移る
「を」がついたので、他動詞と思いたいところですが、「を」の前の名詞に「場所」が入る場合は自動詞という例外がありました。
1,廊下を走る
2,橋を渡る
3,道路を通る
4,家の周りを回る
5,会社を移る
いずれの選択肢も「を」の前が場所だったので自動詞です。問題文は【動詞の自他】という観点から他と性質の異なるもんを選べと言っているので、他動詞も検討してみます。
1,走る →走らせる/走らす
2,渡る→渡す
3,通る→通す
4,回る→回す
5,移る→移す
選択肢2から5は、自動詞→他動詞の際に、語尾の「る」が「す」になっていますが、1は「る」が「らせる/らす」になっています。 よって、1が正解です。 と私は考えましたが、『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』138ページによると、「走る」は対応する他動詞を持たない、とのことです。広辞苑には『走らせる』は他動詞として掲載されていましたが、『走る』との対応関係はないということなのでしょうか。『走らせる』は「先生は遅れてきた生徒(B)を走らせた」のように、Bの意思が介在している自動詞使役文のような意味がある一方で、「私はペン(B)を走らせた」のようにBの意思が介在しない他動詞のような意味もあります。面白いです。いずれにせよ
正解は1です。
自動詞と他動詞と使役形を勉強したい方へ
自動詞と他動詞と使役に関しては下記の記事で詳しく書きました。
関連する過去問も載せていますのでよかったらどうぞ。