問1の解き方
「特別の教育課程」?
「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)」?
いきなり難しそうですが、大丈夫です。
丁寧な消去法で答えにたどり着けます。
選択肢1
文部科学省が「母語の発達」にまで留意しているとは聞いたことがないな。
「日本語指導が必要な児童生徒」が普通の小学校にいたら、各教科についていけるように日本語指導を一番に考えるのが文部科学省のはず。
選択肢2
日本語指導が必要な理由は、各教科の授業についてこれるようにするため。
であれば
「児童生徒の日本語の能力に応じて行う各教科等の指導」についても
指導内容を示しておくのは適当
選択肢3
「日本語能力を高める」のは「各教科等の指導」のためのはず。
なので
「専念」に違和感
選択肢4
「学校単位での標準化を図る」とは
同じ学校にいる日本語指導が必要な児童生徒への指導は誰に対しても同じようにしようということ。
しかし、生徒によって日本語能力に差があるだろうし、事情も異なる。
学校単位で標準化を図る意味がわからない。
よって、答えは2
問2の解き方
BICSとCALPという言葉を知らなくても、以下のような思考の過程で漢字から答えが導き出せます。
生活言語能力(BICS)は、漢字から考えると、生活の場面で言葉を使う能力のことだろう。
学習言語能力(CALP)は、漢字から考えると、学習の場面で言葉を使う能力のことだろう。
各選択肢を見ると
①「文脈の依存度」はどちらが高いか?
②「認知的負担」はどちらが大きいか?
この2つがポイントだとわかります。
①「文脈の依存度」はどちらが高いか具体例をイメージして検討
日常生活で使う言葉「だいじょうぶ」
「袋、いりますか」「あ、だいじょうぶです」→「だいじょうぶ」は「袋いらない」の意味
「この席、使ってもいいですか」「あ、だいじょうぶです」→「だいじょうぶ」は「使ってもいいですよ」の意味
日常生活で使う言葉は文脈によって意味が変わる
つまり、文脈依存度が高いことがわかります。
一方、学習場面で使う言葉「微分積分」
「微分積分」はどんな場面でも、意味が変わらなそう。
学習場面で使う言葉は、文脈依存度が低いことがわかります。
②次に、「認知的負担」はどちらが大きいか検討
認知的負担とは頭を使うということ
どちらが頭を使うかイメージ
生活場面の例『カフェで英語で注文する』
学習場面の例『英語で数学の授業を受ける』
『英語で数学の授業を受ける』ほうが頭を使うだろう。
数学というだけでも大変なのに、それが英語になるのだから。2倍大変のイメージ
以上より
生活言語能力は、文脈への依存度が高く、認知的負担が小さい。
学習言語能力は、文脈への依存度が低く、認知的負担が大きい。
よって、答えは4
BICSとCALPについては下記記事参照
日本語教育能力検定試験の大好きな言葉なのでしっかり理解しておく必要があります。
問3の解き方
これは知らないとできないです。間違えても気にしなくて大丈夫。
各ウェブサイトのリンクを下にのせておきますので、一度確認しておいてください。
選択肢1
海外子女教育・帰国児童生徒教育関係の教育相談、情報の提供や交換等が行えるようなウェブサイトは、「CLARINET」です。
選択肢2
海外子女教育・帰国児童生徒教育に関係する、多言語教材などの情報が検索できるようなウェブサイトは、「かすたねっと」です。
選択肢3
留学生を主人公としたストーリーに基づく、日本語学習と文化理解を目的とする動画付き学習ウェブサイトは、「エリンが挑戦! にほんごできます」です。
選択肢4
世界中の日本語教師の教材作成を支援するための素材や活動案を提供する、ユーザー登録制のウェブサイトは、「みんなの教材サイト」です。
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題14でも「みんなの教材サイト」が問われています。
よって、答えは1
試験によく出るウェブサイトについて詳しくはこちら
問4の解き方
JSLカリキュラム
Japanese as a Second Language カリキュラム
日本語を第二言語とする人のカリキュラムの中学校編
日本語が上手でない中学生をどう支援するかイメージしながら選択肢の具体例を見ます。
選択肢1
「意味を身体で表現させたり」
日本語で言いたいことが表現できないから、代わりに「体で表現」させる?
例えば、日本語の「おいしい」を身体で表現させる?
確かに、言葉がわからないときにジェスチャーを使ったりはしますが、ジェスチャーを中学校が本格的に支援するイメージができません。
「機械的に手や体を動かす動作と結びつけたりする」
これも「表現支援」の何に役立つかわかりません。
「機械的に手や体を動かす動作」は「表現」とは言えないでしょう。
選択肢1の具体例は明らかに変であり、他の選択肢はまともです。
よって、答えは1
なお、JSLカリキュラム中学校編について詳しくはこちら
の14ページ~に支援タイプとその具体例に関する記述があります。
選択肢1の例は、「記憶支援」の例でした。
記憶支援
身体化する:意味を身体で表現させたり、機械的に手や体を動かす動作と結びつけたりする
表現支援の例は、
選択肢を示す:語彙や表現の例を示し、選ばせる
表現方法を示す:ことば以外の表現方法(絵、写真、図など)を示し、多様な方法での表現を促す
などがあります。
問5の解き方
各選択肢を見て、疑問が浮かばない選択肢を探します。
選択肢1
「現在では日系ブラジル人が最も多い」に疑問、本当にそうだろうか?
なお、「令和元年度夜間中学等に関する実態調査」についての1ページに書かれています。
【夜間中学とは】
○戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由から昼間に就労または家事手伝い等を
余儀なくされた学齢生徒が多くいたことから、それらの生徒に義務教育の機会を提供
することを目的として、昭和20年代初頭に設けられたもの。
○現在では、義務教育未修了の学齢超過者や、不登校など様々な事情により十分な
教育を受けられないまま中学校を卒業した者、本国や我が国において十分に義務教
育を受けられなかった外国籍の者を中心に教育を行っている。
選択肢2
「特別の教育課程」は問1にも出てきた!
夜間中学で日本語指導をしているニュースは見たことがある!
選択肢3
N2はかなり難しいと聞いたことがある。
それを義務付けるのはどうなのか?
いろいろな境遇の人がいるはずなのに…疑問
選択肢4
「日本の教員免許」試験が難しいと聞いたことがある。
「生徒の多国籍化への対応」で海外で取得した教員免許を同等の見なすのは安易ではという疑問
よって、答えは2
詳しくは、文部科学省『夜間中学の設置促進・充実について』
一度見ておくことをおすすめします。
現在の設置状況を見ることができます。