【過去問解説】平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(2)【意向形の誤用とは】

日本語教育能力検定試験平成30年度 H30試験Ⅰ
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平成30年度(2018)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ問題2(2)の誤用は【おいしいから一緒に食べろう。】です。

問題2の過去問解説については動画もありますので目が疲れた方はよかったらどうぞ。聞くだけでOKです。

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解き方

例がどんな誤用か考える。

問題の誤用を直してみる。

「食べろう」→「食べよう」

意向形の誤りですね。

意向形とは、動詞の活用形の1つで、どうしたいか、どうするつもりか、意向をいうもの。

選択肢から同じ誤用を探す。

同じように意向形の誤りかどうかチェックしてみましょう。

  1. 信じろう→信じよう
  2. 植えろう→植えよう
  3. 考えろう→考えよう
  4. 出来ろう→出来よう

全て「よう」にすべきなのに「ろう」になっている。誤用の形は同じです。

あれ? 仲間外れがない!!

他の共通点・相違点を探す。

形が同じなら意味を考えてみよう

  1. 信じたいという気持ち
  2. 植えたいという気持ち
  3. 考えたいという気持ち
  4. 出来たいという気持ち?×

1~3までは「意向」を表していますが、4は「できるだろう」という「推測」の意味ですね。よって、答えは4です。

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授業に役立つ豆知識

2グループ動詞の命令形と意向形

問題の動詞を見てみると全て2グループの動詞ですね。

2グループの動詞とは、国語教育でいう上一段活用と下一段活用の動詞。「~ない」を付けるとイ段かエ段になる。

2グループの動詞は命令形意向形が似ています。

「食べろ」「食べよう」

「信じろ」「信じよう」

「植えろ」「植えよう」

問題文では「信じろ」ではなく「信じろう」になっていますが、日本語非母語話者は長音(伸ばす音)の区別がつきにくいので「信じろ」と「信じろー」は同じように聞こえます。

なので間違えた。形が似ているものは間違いやすいので学習者に伝えるときも気をつけましょう。

意向形になる動詞とは

意向形とは、漢字の通り、意向、どうしたいか、という意思を表す動詞なので、意志動詞に使います。無意志動詞には使えません

意志動詞とは、しようと思ってする動詞

選択肢4「できる」はしようと思ってもできるものではありません。

「私はピアノができるようになりたいと思っているけどできない」

「できる」は無意志動詞。だから意向形を使うことはできません。

このように、文法によって使える動詞は決まっているので、学習者に伝えるときは、どんな動詞と一緒に使えるのか示す必要があります。

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