令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Cの正答率
(11)の解き方【「の」の間に入る格助詞の例】
中級を教える際に必要な知識なので落としたくない問題です。
具体的に名詞を2つ入れてみます。
1 君がの約束 ×
2 君との約束 〇
3 君にの約束 ×
4 君をの約束 ×
よって、答えは2
平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1問2で似た問題が登場していますので確認しておいてください。
「の」の間に入る格助詞と入らない格助詞の違いについてもっと知りたい方は現代日本語文法②p9~[「は」や「の」の付加]
(12)の解き方【副詞的成分による名詞修飾】
これも具体的に入れてみます。
1 副詞
ばらばらの本 〇
「副詞の名詞」というパターンは、芸人のハライチさんのネタで見たことがあります。
詳しく勉強したい人は、現代日本語文法⑥第11部複文p48に「副詞的成分による名詞修飾」についての記載がありますので見てみてださい。
2 連体詞
このの本 ×
3 動詞の連体形
連体形とは、後ろに体言(名詞)が連なる形。
要は後ろに名詞がくるときの動詞です。
例えば動詞の「作る」の活用を考えてみましょう。
作らない・作ります・作る・作れば・作ろう
太字が連体形です。
作らない(ナイ形)・作ります(マス形)・作る(辞書形・終止形・連体形)・作れば(バ形)・作ろう(意向形)
彼女が作るケーキの「作る」が動詞の連体形
彼女が作るのチョコレート ×
「はねるのトびら」という番組が過去にありました。
「はねる」は連体形です。
あえて文法的に不適切な表現をして目立つことを狙ったのではないかと思いますがどうでしょうか。
また会話であれば
「明日、会議に行くのAさん?」
みたいな発話はありえますが
これは「明日、会議に行くのはAさん?」の「は」が落ちている例。
つまり「の」の後は「は」です。名詞ではありません。
4 イ形容詞の終止形
かわいいの猫 ×
よって、答えは1
なお、連体詞と形容詞と副詞の違いについては下の記事をどうぞ
この問題は正答率が悪かったですが、日本語教師に必須の知識なので、理解しておいてください。
「大きいの服」とか「彼女が作るのケーキ」という誤用がよく出ます。
特に中国人学習者の方は「的」のように「の」を使うので上のような誤りが頻出するようです。
(13)の解き方【名詞修飾節で「の」と交替する格助詞】
日本語教師に必須の知識なので落としたくない問題です。
名詞修飾節とは、名詞を修飾する節
例)ハマが作ったカレー
これも具体的に考えてみましょう。
1 主体を表す「が」
ハマが作ったカレー→ハマの作ったカレー 〇
2 理由を表す「で」
雨で延期になったイベント→雨の延期になったイベント ×
3 場所を表す「に」
公園にいる猫→公園のいる猫 ×
4 経路を表す「を」
公園を散歩しているおじさん→公園の散歩しているおじさん ×
よって、答えは1
これもどこかの過去問で出てきた記憶があるのですがいつだったか思い出せませんのでどなたかDiscordで教えていただけると幸いです。
名詞修飾(連体修飾)節内で「が」が「の」になるのは、初級を教える際に必要な知識です。
日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p98、現代日本語文法②p38~参照
(14)の解き方【述語+「の」という構造】
「地震があったのは昨日の昼間ですか。夜ですか」という文の「地震があったの」を他の言葉で入れ替えてみます。
「パーティは昨日の昼間ですか。夜ですか」
「テストは昨日の昼間ですか。夜ですか」
「パーティ」や「テスト」は名詞です。
名詞は「の」が不要
一方で
「きれいだったのは昨日の昼間ですか。夜ですか」…ナ形容詞
「安かったのは昨日の昼間ですか。夜ですか」…イ形容詞
「最後にご飯を食べたのは昨日の昼間ですか。夜ですか」…動詞
形容詞や動詞の場合は「の」が必要になります。
この「の」は、用言を名詞化する「の」であるとわかります。
よって、答えは2
ですが、この問題は選択肢1「主題化する」を選んだ方がたくさんいました。
確かに「地震があったの」は主題になっていますが
主題化は「の」の機能ではなく「は」の機能
詳しくは、平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2を見てください。
「の」の色々な機能については下の記事をどうぞ
(15)の解き方【「の」の機能】
選択肢1から3は、(14)と同じく述語を名詞化する「の」です。
選択肢4は、「スイカ」という名詞の代わりに使っている「の」です。
よって、答えは4
いろいろな「の」の機能や分類については下記の論文が詳しいです。
令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Cと問題3Dのポイントを動画で見る。
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