敬意低減の法則(けいいていげんのほうそく)とは、敬語に含まれている敬意が使われるうちに少しずつすり減っていく現象。ある言葉がもともと持っている敬意や礼儀が、頻繁に使用されることで徐々に薄れ、日常の中で敬語としての重みが減少する。
敬意が低減した例
・「君」の意味が「天皇、仕える主人」から「同輩以下に対する代名詞」に変化した(令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問3)。
・「お前」は、かつては尊称の対象詞だったが、現在では相手を罵るときの対象詞としても用いられるようになった(令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14問2)。
日本語の人称代名詞のうち、聞き手を指す代表的な人称詞は「あなた」である。「あなた」は、もともとは「彼方」という場所・方向を表す言葉であり、相手を直接指し示さないという点で高い敬意を表すものであった。しかし、敬意低減(逓減)の法則によりその待遇価値が下がってしまったため、「あなた」の使用には留意が必要である。
(中略)
問3「敬意低減(逓減)の法則」によって、現在では待遇価値が落ちている言葉の例は?
1 「主人」「家内」 2「こいつ「あいつ」 3「貴様」「お前」 4 「愚息」「愚妻」
平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14問3より引用
敬意低減(逓減)の法則でやりたい過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題12問4
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14問2【敬意が低減した人称詞】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14問3【敬意が低減した人称詞】