令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9の正答率
問1の解き方【認知スタイル】
認知スタイルとは、情報をどうやって処理するか。どんなやり方が得意かは人によって異なる。
場依存型は、場面に依存している。そのシチュエーションに関連付けてとらえる。なので、場面設定などがあるコミュニケーションが得意。全体を直感で理解する。環境に依存する。年少者に多い。
場独立型は、場面から独立してとらえる。なので、場面設定などがあるコミュニケーションよりも、文法などを勉強するほうが得意。場から離れて分析的・論理的に考える。年長者に多い。
https://www.hamasensei.com/2018-1-9/
選択肢1
認知スタイルの「思考型」という言葉は初めて見ましたが、漢字の意味から考えます。
「思考型」というのだから思考するのが得意なのでしょう。私はこのタイプです。
このタイプの人間は深く思考して論理的に考えます。
論理に矛盾する「曖昧な部分」は許せません。
例えば私はパチンコ屋が許せません。
法律的には明らかに違法なのですが警察が「パチンコって換金できるの? 知らないよそんなこと」という曖昧な態度を取ることでなんとか成立しているのがパチンコビジネスです。
こういうのが私は寛容に受け止められません。
選択肢2
認知スタイルの「内向型」という言葉も初めて見たので
「内向的な人」を考えました。
私のような内向的な人間はひたすら考えます。感情ですぐに動くようなことはしません。
課題に対しても感情ではなくロジックで考えます。
選択肢3
「場依存型」の学習者は物事の詳細を見ることよりも全体を捉えようとします。
例えば、
「場依存型」は平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問2にも登場しているので見ておいてください。
選択肢4
「場独立型」の学習者は、直感的にではなく、分析的論理的に考えようとします。
よって、答えは3
試験合格のマル秘テクニック
今回は知らない言葉に惑わされた人が多かったようです。
試験マニアの私からすれば、このような問題は他の人と差をつける大チャンス
詳しくは動画で話します。
認知スタイルが登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問2【認知スタイルの意味】
思考型と内向型に関して参考になりそうな文献
・外向型・内向型における注意機能特性と情報処理スタイルの関連性
問2の解き方【学習ストラテジー】
学習ストラテジーについては下の記事をどうぞ。
学習ストラテジーは日本語教育能力検定試験で最も出題される分野の1つ。
確実な理解を。
選択肢1
「定期的に計画を立てて学習を進める」のはメタ認知ストラテジーです。
選択肢2
「人前でうまく話せたと自分を褒める」のは情意ストラテジーです。
選択肢3
「目標言語の母語話者の友達を作る」のは社会的ストラテジーです。
選択肢4
「文脈から分からない語を推測する」のは補償ストラテジーです。
よって、答えは4
問3の解き方【キーワード法】
キーワード法とは、覚えたい語と音声的に類似した母語の言葉のイメージを関連づけて覚える方法です(令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問4)。
例えば、タイ語の「キレイ」は日本語の「キレイ」と音が似ているけれど、タイ語の「キレイ」は日本語と反対の「不細工」を意味すると覚える。
よって、答えは1
キーワード法が登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問4【キーワード法の方法】
問4の解き方【音韻処理能力】
音韻処理能力とは、聞いた音を処理する能力のこと。音を区別して聞き分けたり、聞いた音を記憶して口で再現する能力
選択肢1
成人にとっても音を聞き分けることは重要です。
選択肢2
音韻処理能力は実際に聞いた音に関する能力です。共通点を抽出し一般化する能力ではありません。
「インプットと既有知識の共通点を抽出し、一般化する際に関わる」のは言語分析能力です。
選択肢3
音韻処理能力は未知の音を識別する能力やそれを記憶する能力を含みます。
選択肢4
未知の音が多い、学習の初期段階の方が音韻処理能力が習得に有利に働きます。
よって、答えは3
問5の解き方【統合的動機づけの例】
動機づけについては下の記事をどうぞ
統合的は、帰属的。自分もそのメンバーになりたい。つまり生活、習慣、価値観など目に見えないものへの興味。小文字cの文化への興味
道具的は、実利的。
統合的動機づけを考える時は、ベリーの文化変容モデルを思い出してください。
ベリーの統合を忘れた方は、令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問5を見てください。
統合は「異文化も取り入れようとする状態」( 令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問5)です。
わかりにくい人は、文化の氷山モデルを参考にするといいかもしれません。
日本語を学ぶ最初のきっかけはアニメの人が多い(選択肢1)。アニメは氷山の一角。目に見える文化。わかりやすいもの。ここから日本語の勉強をはじめて、次に漢字の面白さなど勉強をしていて気づく(選択肢3)。これも目に見える文化。そこからさらに、目に見えない文化、日本人の習慣、価値観、考え方など日本人自体について、もっと知りたい、理解を深めたい(選択肢4)、メンバーの一員になりたいと興味が深くなっていく。
つまり選択肢から目に見えないものを選ぶ。
あるいは、僕がA君の家に行く動機で分けるとわかりやすい。
道具的動機付けはその人が持っているものが好き
例)道具的動機づけ
・A君の家に行けばお金がもらえる(選択肢2)
・A君の家に行けば面白いアニメが見られる(選択肢1)
・A君は帰国子女で生い立ちが面白い。もっと生い立ちの話を聞きたい(選択肢3)
統合的動機づけはその人自体が好き
例)統合的動機づけ
・A君が好きでもっとA君のことを知りたい理解したい(選択肢4)
よって、答えは4
ガードナー&ランバートは学習動機を①統合的動機づけと②道具的動機づけの2つに分け、①統合的動機づけのほうが習熟度が高いと言いました。
道具的志向の学習者は、より良い仕事や待遇を得たい、学校に入学したいという理由(the more utilitarian value of linguistic achievement)により、その言語を学ぶのである。 一方、統合的志向の学習者は、目標言語話者の文化や言葉を理解し、その文化に同化していくことを目的として(as if he desired to become a potential member of the group)その言語を学ぶのである。
https://gakusei.gengo21.com/archives/401
ガードナー&ランバートのように選択肢の動機を①統合的動機づけ②道具的動機づけに分けてみます。
1 道具的動機づけ
2 道具的動機づけ
3 道具的動機づけ
4 統合的動機づけ
一方、デチ(Deci )とライアン(Ryan)は①外発的動機づけと①内発的動機づけの2つに分類しました。
内発的動機づけとは学習する内容への興味などから学習そのものを目的として自発的に学習する動機づけを指し、外発的動機づけ(extrinsic motivation)とは学習そのもの以外から押しつけられた目的のために学習する動機付けを指す。
https://gakusei.gengo21.com/archives/401
選択肢を①外発的動機づけと②内発的動機づけの2つに分けてみます。
1 内発的動機づけ
2 外発的動機づけ
3 内発的動機づけ
4 内発的動機づけ
でしょうか。
内発的動機づけと外発的動機づけについてもっと知りたい方は下記のサイトをどうぞ。
「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」とは?アメリカの心理学者デシの理論を解説
動機づけが出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問1【内発的動機づけの例】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問5【内発的動機づけを促すものの例】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問2【外発的動機づけ・道具的動機づけ・統合的動機づけの例】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問4【外発的動機づけ・内発的動機づけ・道具的動機づけの例】