ポライトネス理論とは?
ポライトネスとは、相手のフェイスを脅かさないように配慮すること(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問4)
・互いの「フェイス」を傷つけないように言語的配慮を行いながらコミュニケーションを図っている(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問1)
フェイスとは?
フェイスとは、面子(めんつ)に関わる欲求。
ポジティブフェイスとネガティブフェイスがある。
・フェイスが表す概念は欲求(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問1)
フェイスは、日本語の「面子」にも通じる概念(「ポライトネス 言語使用における、ある普遍現象 Politeness:Some Universals in Language Usage」の監訳者はしがきより)
ポジティブフェイスとは【ポジティブ・フェイス】
ポジティブフェイスとは、他者に受け入れられたい、よく思われたいという欲求(「ポライトネス 言語使用における、ある普遍現象 Politeness:Some Universals in Language Usage」の監訳者はしがきより)
・ポジティブフェイスとは、他者に好かれたい、認められたいというような、他者に近づきたい欲求(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1)
ポジティブフェイスへの配慮の例【ポジティブ・ポライトネス・ストラテジー】
ポジティブポライトネスストラテジーとは、相手のポジティブフェイスを満たすよう配慮することです。
私たち友達だよね! 仲いいよね!
と相手が思ってくれるようなことをします。
以下のような例があります。
・チョコ好きでしょ、これ、おいしいから食べてみて(令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問3)
・相手の髪型の変化について話題にする(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問3)
・仲間内で用いられる言葉を使う(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問2)
ネガティブフェイスとは【ネガティブ・フェイス】
ネガティブフェイスとは、 他者に踏み込まれたくない、煩わされたくないという欲求(「ポライトネス 言語使用における、ある普遍現象 Politeness:Some Universals in Language Usage」の監訳者はしがきより)
・ネガティブフェイスとは、他者に邪魔されたくない、自分の領域に立ち入られたくないという欲求(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1)
ネガティブフェイスへの配慮の例【ネガティブ・ポライトネス・ストラテジー】
・いつも気を遣っていただいて、本当に申し訳ありません。
・デザートをお持ちしてよろしければ、声をおかけください。
・手が空いてたら来てほしいんだけど、無理っぽいかな。
(以上は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問4より)
・貸してもらってばかりで、いつも悪いね(平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2問4)
・相手を非難するときに「私が悪いのかな?」と聞く。
・相手の壊したものを「壊れちゃったかも」と言う。
・相手が断りやすい表現で飲み会に誘う。
(以上は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問3)
・「先週の授業のノート、貸してもらえないかな」と言った後で「無理なら、他の人に聞いてみるけど」と言う(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1)
ポジティブ・ポライトネスもネガティブ・ポライトネスも使われていない発話の例
コミュニケーション上の摩擦を回避するための会話行動を分析する理論として、ブラウン&レビンソンのポライトネス理論がある。この理論では、人が持つ「他者に受け入れられたい」または「他者に立ち入られたくない」というそれぞれの欲求を満たすため、ポジティブ・ポライトネス、ネガティブ・ポライトネスという二種類のポイライトネス方略が提唱されている。ただしすべての発話が必ずこの二つのいずれかに分類されるわけではなく、どちらの方略も用いられていない発話もある。
令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2より
どちらの方略も用いられていない発話の例は以下の通りです。
・部屋を散らかしっぱなしにしている子に対して、母親が「お客さんが来るまでに、部屋を片付けなさい」と発話する(平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2問5)
上の発話は、会話相手である子どもには配慮していません。
フェイス侵害行為とは?
フェイス侵害行為とは、相手のポジティブフェイスとネガティブフェイスを脅かす言動的行為のこと。
フェイス侵害行為の別名は、フェイス威嚇行為、フェイスを脅かす行為、FTA
フェイス侵害行為は英語では、face-threatening act
・会話の参加者は自分だけでなく相手のフェイスも保持しようとし、互いにFTAを避けようとする(令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問3)
フェイスの侵害度合いに関する3つの要因とは【FTAの度合い】
①話し手と聞き手との力関係
②話し手と聞き手の社会的距離
③特定文化における行為の負担度
(以上は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問5より)
フェイスへの配慮よりも伝達の効率性が優先される場合とは?
・(火事の現場で)火事だ! 逃げろ!
ポライトネス理論に関する論文とコラム
ポライトネス理論が出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14【ポライトネス理論】
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14問2【ポライトネス・ストラテジーの一種であるボールド・オン・レコード・ストラテジー(直言)の例】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問3【フェイスを脅かす行為(FTA)に関する記述】問4【ポジティブ・ポライトネス・ストラテジーの例】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2問4【ネガティブ・ポライトネスが用いられている発話】
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問1【フェイスが表す概念】問2【ポライトネス理論】問3【ポジティブフェイスへの配慮の例】問4【フェイスへの配慮よりも伝達の効率性が優先される場合】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問5選択肢3【仲間内の言葉である「キャンパス言葉」はポジティブ・ポライトネス、控えめに表現するためのヘッジはネガティブ・ポライトネス】
・平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題3問1選択肢4【FTA(Face Threatening Act )】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1【ポジティブフェイスとネガティブフェイスとは】問2【ポジティブフェイスの例】問3【ネガティブフェイスに配慮した発話の例】問4【フェイスを脅かさないように配慮することを何というか?】