問題5の概要と使えるテクニック
具体的な解説は令和2年度や平成29年度が詳しいのでまだやってない人はぜひ。
YouTubeには聴解対策の再生リストもあるのでこれを使ってまとめて解こう
問題5は日本語学習者向けの聴解教材を聞く。
3番まであるが、毎年1つは資料付き、つまり、聴解読解問題になっている。
聴解読解問題は資料を読む必要があるので、質問と選択肢を見た後、聞く前に読む。
ワーキングメモリを酷使する一番忙しい問題と言える。
実際、問題5の正答率は低いので、できなくても気にしない。皆できない。
ワーキングメモリの負担を減らすには、聞く前にスキーマを活性化させておくこと。
よく問われる質問やよくある答えを事前に知っておけば、
本番でそれを見た時に記憶が喚起されて(スキーマ活性化)
聞き取りがすこし易しくなる。
つまり大事なのは過去問のやり方
問題5だけ
手持ちの過去問全ての年度をまとめてやってみよう。
そうすれば、よく見る質問と選択肢を自然と覚えてしまうだろう。
過去の問いと選択肢
平成28年度
1番
問1 聴解教材の特徴
a 相づちを促すようなイントネーション(黄色ハイライトが正解の選択肢)
b 発言権を譲るようなイントネーション
c 婉曲的表現
d 形容詞活用語尾の省略(あまい→あま)
問2 解くための重要な知識
a 統語情報(語順 svo,sov)
b 隣接ペア
c パラ言語
d メタ言語
2番 資料付き
問1 解くために理解しなくてもよい言葉
a 向かい
b 右
c 信号
d カフェ
問2 聴解問題(絵)の問題点
a 左右の位置関係わかりにくい。
b 東西南北がわからない
c 記号の文化差
d 英語母語話者に有利
3番
問1 聴解問題の特徴
a 最後まで聞く必要
b 出来事の順序が大事
c 特定分野の知識
d 自分の経験と照合
問2 聴解問題理解確認のための活動として適当でないもの(聞かなくても解ける)
a スクリプト音読
b 要約して書く
c 口頭で再構成
d 聴解の質問に答えさせる
平成29年度
1番 初級
問1 解くために必要な能力
a 論理関係
b 発話意図
c 言い換え表現
d 指示詞が示す内容
問2 聴解教材の問題点
a 文型がレベルに合わない
b 語彙がレベルに合わない
c 既有知識で正解わかる
d 正解がわからない
2番 資料付き
問1 解くために必要ない知識
a 省略
b 対比
c 数詞・助数詞
d 転訛形(例:やめておく→やめとく)
問2 聴解教材の問題点
a 出題意図と選択肢が合わない
b 曖昧な依頼表現
c 文化的背景に依存した会話
d 絵がわかりにくい
3番
問1 解くために必要な知識
a 発話意図や感情を表すイントネーション
b フィラーの役割
c 確認や同意を表す終助詞の働き
d 関係によるスピーチスタイルの違い
問2 聴解教材の特徴
a 順序がわからないと答えが出ない
b 答えが会話で明示されていない
c 前半で答えがわかる
d 一方の行動を聞けば答えがわかる
平成30年度
1番
問1 解くために必要な知識または能力
a 談話展開を推測する能力
b 外来語から原語が分かる能力
c 時間の前後関係を表す語彙の知識
d オノマトペの知識
問2 聴解教材の特徴
a 和製英語の知識を問う問題
b 特定分野に偏った語
c 要点が会話の前半
d 時系列に沿った説明
2番
問1 測ろうとしている知識(解くために必要な知識)
a 授受表現
b 受身表現
c 敬語表現
d 使役受身表現
問2 聴解教材で改善すべきこと(問題点)
a 普通体で会話されていること
b 発話量のバランス
c 答えが複数ある
d 文型が学習者のレベルに合わない
3番 資料付き
問1 学習者がわからなかった言葉(解くために必要な知識)
a 気温が低い
b 晴れのち曇り
c 夜遅く
d 雨が降る
問2 学習者のために配慮されている点(問題点の反対)(聞かなくても資料読めば解ける)
a 気温の表示単位が国によって異なる点
b 天気の記号が国によって異なる点
c 「寒い」や「暖かい」の基準が人によって異なる点
d 「夜遅い」が何時頃を指すのか人によって異なる点
令和元年度
1番 資料付き
問1 解くために必要なストラテジー(能力)
a 自己の体験と照らし合わせる
b 結論を予測する
c 情報を関連づける
d 事例を抽象化する
問2 聴解教材の問題点
a 聴解素材と選択肢で異なる表現
b 聞かなくても答え分かる
c 手がかり不十分
d 日本事情の知識がないと答え選べない
2番
問1 解くために必要な文法的知識
a 言いさしとぼかし表現
b 終助詞と伝達表現
c モダリティと推量表現
d ヴォイスと受益表現
問2 聴解教材の問題点
a 発話意図をくみ取るための情報不十分
b 特定の語に関する社会文化的知識が必要
c 縮約形
3番
問1 解くために必要な能力
a 接続表現から談話展開を推測
b 情報を絞り込みながら聞き取る能力
c 細部まで正確に聞いて因果関係を捉える能力
d 情報を時系列に沿って並べ直す能力
問2 解くために必要な語
a 欲張り
b 見放題
c 贅沢
d 魅力的
令和2年度
1番
問1 会話の特徴
a 縮約形
b フィラー
c 主語省略
d 格助詞省略
問2 聴解問題の問題点
a 選択肢に答えがない
b 会話の目的が理解しにくい
c 問いの意味が不明確
d 最後だけ聞けば答えが分かる
2番
問1 聴解素材の特徴
a IRE/IRF型の発話連鎖
b 間接的な意見の述べ方
c 聞き手が話し手の情報補う
d 時系列に沿って話題展開
問2 解くために必要な知識
a 縮約形
b 配慮表現
c 飲食文化に関する知識
d 比喩的に使われた語の知識
3番 資料付き
問1 解くために不要な知識
a 1日3回
b 錠
c 解熱剤
d 38度以上
問2 測ろうとしている能力(解くために必要な能力)
a 大意をつかみながら聞く(スキミング)
b 必要な情報を選別しながら聞く(スキャニング)
c 省略された情報を補う能力
d 前後関係を推測する能力
令和3年度 正答率1番(38,88)2番(47,59)3番(21,45)
1番
問1 測ろうとしている能力(解くために必要な能力)
a 省略された後を推測する能力
b 言い換えられた語を理解する能力
c 複数の情報から総合的に判断する能力
d イントネーションから話し手の真意を推察する能力
問2 聴解教材を解くために必要なこと
a 自分の経験と照合
b 言外の意図を読み解く
c 展開を予測しながら聞く
d 情報を保持しながら聞く
2番
問1 聴解素材の特徴
a 短縮語が頻出
b 感動詞が頻出
c 役割語
d 二重敬語
問2 部下が断ろうとした際に用いたストラテジーに当てはまらないもの
a 断る理由を述べる
b 代案を提案
c 言いよどんで沈黙
d 期待に添えないことを詫びる
3番 資料付き
問1 解くために必要なのに図で配慮されていない点(問題点)
a 物件周辺情報の記載
b 家賃の表示
c 方位の統一
d 図中の語と会話中の語の統一
問2 解くために必要とされない能力
a 結論を予測しながら聞く能力
b 話者の意図を推測しながら聞く能力
c 出来事の前後関係を理解する能力
d 複数の情報を統合し判断する能力
令和4年度 正解率1番(55,91)2番(67,57)3番(67,17)
1番
問1 会話の特徴
a 前置き表現多様
b 反復要求を行って会話を続ける
c 相手の発話に自分の発話を重ねる
d 相手の次の発話を先取りして発話
問2 聴解教材の特徴
a 後半だけ聞けば答え分かる
b 特定分野の知識があれば答え分かる
c 自分の経験と照合すれば答え分かる
d 敬語の知識があれば答え分かる
2番
問1 聴解教材の目的(解くために必要な能力)
a 自分の聴解過程をモニタリングさせる
b 因果関係を読み取らせる
c 文脈から内容を推測させる
d 数字を正確に聞き取らせる
問2 聴解教材の問題点
a 社会事情に関する知識が必要
b 睡眠に関する専門知識が必要
c 正答が複数
d 計算能力が必要
3番 資料付き
問1 解くために必要な技能
a 接続詞から時間的順序を再構築する技能
b 省略された情報から時間的順序を推測する技能
c 終結部を予測しながら時間的順序を推測する技能
d 提示された情報を基に時間的順序を再構築する技能
問2 2を選んだ学習者がわからなかった文法(解くために必要な文法)
a 〜る前に/〜てから
b 〜るとき/〜たとき
c 〜のあと/〜たあと
d 〜るんです/〜たんです
問題5で問われることはほぼ3つ
以上の太字のとおり、問題5で問われることはいつも同じ
①聴解問題(会話)の特徴
②解くために必要な能力(あるいは不要な知識)
③聴解教材の問題点(あるいは工夫した点)
それぞれの問いでどのような選択肢があるのか把握しておく。
選択肢から会話がイメージできるようにしておく(具体的なやり方は令和2年度や平成29年度の解説が詳しい)。
特に正解の選択肢(黄色ハイライト)からは必ずイメージできるようにしておく。
そこで下記では上記選択肢を3つの問いでまとめなおした。
これを何度も見て、選択肢からイメージする訓練を行う。
聴解素材(会話)の特徴
聴解教材(会話)の特徴
- 相づちを促すようなイントネーション
- 発言権を譲るようなイントネーション
- 婉曲的表現
- 形容詞活用語尾の省略(あまい→あま)
- 最後まで聞く必要
- 出来事の順序が大事
- 特定分野の知識
- 自分の経験と照合
- 順序がわからないと答えがでない
- 答えが会話で明示されていない。
- 前半で答えがわかる
- 一方の行動を聞けば答えがわかる
- 和製英語の知識を問う問題
- 特定分野に偏った語
- 要点が会話の前半
- 時系列に沿った説明
- 縮約形
- フィラー
- 主語省略
- 格助詞省略
- IRE/IRF型の発話連鎖
- 間接的な意見の述べ方
- 聞き手が話し手の情報補う
- 時系列に沿って話題展開
- 断る理由を述べる(断ろうとした際に使わなかったストラテジー)
- 代案を提案
- 言いよどんで沈黙
- 期待に添えないことを詫びる
- 前置き表現多様(会話の特徴)
- 反復要求を行って会話を続ける
- 相手の発話に自分の発話を重ねる
- 相手の次の発話を先取りして発話
- 後半だけ聞けば答えわかる(教材の特徴)
- 特定分野の知識があれば答えわかる
- 自分の経験と照合すれば答えわかる
- 敬語の知識があれば答えわかる
解くために必要な能力(あるいは不要な知識)
解くために必要な能力(あるいは不要な知識)
- 統語情報(語順 svo,sov)
- 隣接ペア
- パラ言語
- メタ言語
- 向かい
- 右
- 信号
- カフェ
- スクリプト音読(理解確認のための活動)
- 要約して書く
- 口頭で再構成
- 聴解の質問に答えさせる
- 論理関係
- 発話意図
- 言い換え表現
- 指示詞が示す内容
- 省略
- 対比
- 数詞・助数詞
- 転訛形(例:やめておく→やめとく)
- 発話意図や感情を表すイントネーション
- フィラーの役割
- 確認や同意を表す終助詞の働き
- 関係によるスピーチスタイルの違い
- 談話展開を推測する能力
- 外来語から原語がわかる能力
- 時間の前後関係を表す語彙の知識
- オノマトペの知識
- 授受表現
- 受身表現
- 敬語表現
- 使役受身表現
- 気温が低い(学習者がわからなかった言葉)
- 晴れのち曇り
- 夜遅く
- 雨が降る
- 自己の体験と照らし合わせる
- 結論を予測する
- 情報を関連づける
- 事例を抽象化する
- 言いさしとぼかし表現
- 終助詞と伝達表現
- モダリティと推量表現
- ヴォイスと受益表現
- 接続表現から談話展開を推測
- 情報を絞り込みながら聞き取る能力
- 細部まで正確に聞いて因果関係を捉える能力
- 情報を時系列に沿って並べ直す能力
- 欲張り
- 見放題
- 贅沢
- 魅力的
- 縮約形
- 配慮表現
- 飲食文化に関する知識
- 比喩的に使われた語の知識
- 1日3回
- 錠
- 解熱剤
- 38度以上
- 大意をつかみながら聞く(測ろうとしている能力)
- 必要な情報を選別しながら聞く
- 省略された情報を補う能力
- 前後関係を推測する能力
- 省略された語を推測する能力
- 言い換えられた語を理解する能力
- 複数の情報から統合的に判断する能力
- イントネーションから話し手の真意を推察する能力
- 自分の経験と照合
- 言外の意味を読み解く
- 展開を予測しながら聞く
- 情報を保持しながら聞く
- 結論を予測しながら聞く能力
- 話者の意図を推測しながら聞く能力
- 出来事の前後関係を理解する能力
- 複数の情報を統合し判断する能力
- 自分の聴解過程をモニタリングさせる
- 因果関係を読み取らせる
- 文脈から内容を推測させる
- 数字を正確に聞き取らせる
- 接続詞から時間的順序を再構築する技能
- 省略された情報から時間的順序を推測する技能
- 集結部を予測しながら時間的順序を推測する技能
- 提示された情報を基に時間的順序を再構築する技能
聴解教材の問題点
聴解教材の問題点
- 左右の位置関係わかりにくい。
- 東西南北がわからない
- 記号の文化差
- 英語母語話者に有利
- 文型がレベルに合わない
- 語彙がレベルに合わない
- 既有知識で正解がわかる
- 正解がわからない
- 出題意図と選択肢が合わない
- 曖昧な依頼表現
- 文化的背景に依存した会話
- 絵がわかりにくい
- 普通体で会話されている
- 発話量のバランス
- 答えが複数ある
- 文型が学習者のレベルに合わない
- 気温の表示単位が国によって異なる点(配慮されている点)
- 天気の記号が国によって異なる点
- 「寒い」や「暖かい」の基準が人によって異なる点
- 「夜遅い」が何時ごろを指すのか人によって異なる点
- 聴解素材と選択肢で異なる表現
- 聞かなくても答え分かる
- 手がかり不十分
- 日本事情の知識がないと答え選べない
- 発話意図をくみ取るための情報不十分
- 特定の語に関する社会文化的知識が必要
- 縮約形
- スピーチレベルシフト
- 選択肢に答えがない
- 会話の目的が理解しにくい
- 問いの意味が不明確
- 最後だけ聞けば答えがわかる
- 短縮語が頻出
- 感動詞が頻出
- 役割語
- 二重敬語
- 物件周辺情報の記載
- 家賃の表示
- 方位の統一
- 図中の語と会話中の語の統一
- 社会事情に関する知識が必要
- 睡眠に関する専門知識が必要
- 正答が複数
- 計算能力が必要
問題5に取り組む順番
試験前
- 解説が丁寧な令和2年度や平成29年度の問題を解く。
- その他の問題を解く。
- 忘れたころに通しでやってみる(できれば平成28から令和4年度までまとめて)
- このブログや動画を見て、選択肢から聴解素材がイメージできるように訓練
試験当日
- 問題文と選択肢を読んでスキーマの活性化。資料を読んで問題が解けないか確認。
- 聞きながら問題を解く。答えよりもどうしてその答えを選んだのか理由あるいは問題点が大事。会話の特徴でよく問われることをイメージしながら聞く。